【教材レビュー】英語のハノン 初級を初心者が1周してみた感想

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私たち日本人にとって、最も習得が難しいスキルはスピーキングです。

これは受験のために一生懸命勉強してきた人ほどわかると思います。

ベースとなる単語や文法の知識はたくさんあるのに、いざ話そうとすると言いたいことがスラスラ出てこず、苦しい思いをしたことがある人はたくさんいるのではないでしょうか。


私もそのうちの一人で、英語を喋れることに強い憧れがあり、様々な学習方法を試しています。

オンライン英会話や資格試験などに挑戦していますが、英語はすぐにしゃべれるようになるものではなく、日々奮闘しています。


そんな私がある日、SNSで『英語のハノン』がスピーキングに良いという情報を目にしました。

スピーキングを強化したいなら「瞬間英作文」「英語のハノン」どちらかをやっていない人は終わっている

もちろん私も英語学習者のはしくれなので、「瞬間英作文」は知っていて、実際に購入して利用したこともあります。

瞬間英作文トレーニングの使い方!初心者が5周してみた感想

それゆえ、「英語のハノン」も気になり、書店でペラペラと中身を見てみて、初級からやってみることにしました。


今回はスピーキング初心者が「英語のハノン 初級」をやってみてどうだったかということを紹介します。

私はスピーキングはCEFR B2 レベル(中上級レベル)という、決して流暢に英語を喋れる人ではありません。

この記事でわかること
  • 『英語のハノン』とは
  • 『英語のハノン』のトレーニング内容
  • スピーキング初心者が『英語のハノン 初級を利用した感想
  • 『英語のハノン 初級おすすめな人と注意点

『英語のハノン』とは

『英語のハノン』とは、筑摩書房から発売されているスピーキングに特化した英語学習教材です。

「ハノン」とは、ピアニストたちが無意識的に指を動かせるように、とにかくたくさん練習するための教本だそうです。

『英語のハノン』は、学校で習う文法を「単なる知識」から「使える知識」に変え、スピーキングに応用できることを目的としています。

『英語のハノン』のトレーニング内容

  1. 文法毎に用意された例文を音声に続いてリピート
  2. 単語の入れ替えや文構造の変更(疑問文に変えるなど)の指示を聞いて瞬時にアウトプット

『英語のハノン』のトレーニング内容は基本これだけです。

具体的なトレーニング内容の一例を紹介します。

STEP1 Key Sentence を聞いてリピートする

最初にキーとなる文章が読み上げられるので、読み上げられたら後に続いてリピートします。
※シャドーイングではなく、1センテンス完全に読み上げられた後にリピートします。

これが2回続くので、2回リピートします。

1回目

音声:It’s a souvenir from Russia. ⇒ 自分:It’s a souvenir from Russia.

2回目

音声:It’s a souvenir from Russia. ⇒ 自分:It’s a souvenir from Russia.

STEP2 指示が聞こえてくるので、Key Sentenceを変換して読む

次に、Key Sentence の一部を変換するように指示があります。

指示に従って、Key Sentenceを変換して読み上げます。

音声:question ⇒ 自分:Is it a souvenir from Russia?

STEP3 変換された正しい分が聞こえてくるので、リピートする

STEP2で指示されたKey Sentence 変換後の正しい文章が読み上げられます。

2回読み上げられるので、後に続いてリピートします。

1回目

音声:Is it a souvenir from Russia? ⇒ 自分:Is it a souvenir from Russia?

2回目

音声:Is it a souvenir from Russia? ⇒ 自分:Is it a souvenir from Russia?

STEP4 さらに指示が聞こえてくるので、Key Sentenceを変換して読む

さらにまた、Key Sentence の一部を変換するように指示があります。

指示に従って、Key Sentenceを変換して読み上げます。

音声:What ⇒ 自分:What is it?

STEP5 変換された正しい分が聞こえてくるので、リピートする

STEP3で指示されたKey Sentence 変換後の正しい文章が読み上げられます。

2回読み上げられるので、後に続いてリピートします。

1回目

音声:What is it? ⇒ 自分:What is it?

2回目

音声:What is it? ⇒ 自分:What is it?

これはほんの一例で、単語やフレーズの代入指示があったり、3回指示されたりすることもあります。

スピーキング初心者が『英語のハノン 初級』を1周した感想

初級でもレベルがかなり高い

CEFRで言うと、私のスピーキングレベルは「B2(中上級レベル)」です。

日本人の平均スコアは「B1(中級レベル)」と言われているので、初級なら余裕だろうと思っていました。

しかし、いざ始めてみると、第一部から大苦戦しました。

初級でも難しい理由
  • 英文を読んで理解できても、実際に使うとなると口から出てこない…英語を知っているのと、使えるのでは全然違いました。
  • 英音法を知らないと聞きとれない…リンキングやフラッピングなどの「英音法」をわかっていないとそもそも聞き取れません。
  • スピーキングのスピードについていけていない…トレーニングでは文章を疑問文に変えたり、適切な語順に変換しなければいけません。
    しかし、例文と例文の間のインターバル(アウトプットの時間)はネイティブが喋るぐらいの時間しかありません。
    つまり、ネイティブと同じぐらいの速さで言えるようにならければ、次の例文が再生されてしまいます。

逆に言うと初級でも難しく感じるほどスピーキングスキルが無いと自覚することもできました。

英文自体はそんなに見難しくないように見えるのですが、いざやってみると口がまわりません。

「受験勉強などで難しい単語や文法を勉強してきた人」には簡単な英文に見えるかもしれません。

これまで難しい単語や文法を解いた「できる自分」のプライドは捨て、“スピーキングで応用できる文法力にする“ために初級からやるのがおすすめです。

英語の「型」が口になじみ、自分のしゃべる英語と文法がつながるようになった

これまで英語を話すときは文法を考えると瞬発的に英語が出てこなくて、頭で構造を考えながら話していました。

文法を無視して単語を並べ、「伝わればいいや」精神でしゃべったことも何回もあります。

しかし、『英語のハノン』をやってから、少なくとも習った文法で考えることが少なくなり、前よりスムーズに英語が出てくるようになりました。

また、これまで単語を並べるだけでなんとなく伝えていた英語も、ちゃんと構造を組み立てられるようになったと思います。

曖昧に理解していた基礎文法の復習になった

『英語のハノン』は「習った英文法を使えるようにする」ということが目的です。

これまで学習してきた英文法なので、既に知っている文法も多いと思います。

しかし、それを使えるか(自分で言えるか)は別です。

自分で使えるかどうかチャレンジしてみて初めて、「なんとなく理解していた」「瞬発的に言えなかった」などが分かります。

私の場合、第4文型と第5文型を理解した気になっていましたが、『英語のハノン』をやって理解が深まりました。

『英語のハノン 初級』がおすすめな人

『英語のハノン 初級』がおすすめな人

スピーキングに力を入れたいほぼすべての英語学習者

成果のためならコツコツ努力できる人

スピーキングを教科したいほぼすべての英語学習者

『英語のハノン』はスピーキングのためのやり直し英文法で、対象者はスピーキングを強化したいほぼすべての英語学習者です。

初級の目次だけみて、「この文法は知っているから中級からやろう」などと思わず、必ず初級からやることをお勧めします。

著者の横山先生がおっしゃる様に、TOEIC満点でもハノンは初級から始めた方が良いようです。

成果のためならコツコツ努力できる人

正直、『英語のハノン』はかなりハードな内容です。

  1. 文法毎に用意された例文を音声に続いてリピート
  2. 単語の入れ替えや文構造の変更(疑問文に変えるなど)の指示を聞いて瞬時にアウトプット

基本はこれを様々な文法毎に、“本を閉じたまま” かつ “ネイティブスピードで言える”ようになるまでくり返すだけです。

単純に聞こえますが、これをできるようにするためには同じ文章を何千回と繰り返すことになります。

ある意味、辛抱さが必要になる作業をコツコツ続けられる人にはピッタリですね。

続ければ必ず英会話ができるようになります!

『英語のハノン』の注意点

『英語のハノン』の注意点

トレーニング内容は根気が必要

トレーニングには時間がかかり、1周では足りない

成果はすぐに実感できない

トレーニング内容は根気が必要

『英語のハノン』の内容は白黒のみで淡々とトレーニングをこなすものであり、遊びのない紙面です。

カラフルな見た目や分かりやすい図解が好きな人は少しとっつきにくいかもしれません。

また、トレーニングの内容も易しいものではなく、ひたすらドリルをやって、英語を「使えるようにする」ことが目的です。

そのため、音をあげたくなくなるようなトレーニングを根気よくやる必要があり、それが結果的にスピーキング力をあげる源となります。

トレーニングには時間がかかり、1周では足りない

『英語のハノン』のトレーニングは、ただ流れてくる英文をマネするのではなく、指示に従って文章の変換作業を瞬時に行います。

このトレーニングが想像以上に難しく、1つのUnit を完了するだけでもとても集中力が必要なので、なかなかすすみません。

ですので、本を1周するだけでも、かなりの時間を要すると思います。

とはいえ、1回で完璧にしようとは思わず、60%~80%ぐらい出来たら次に進むのがおすすめです。

どの参考書もそうですが、その本の内容を自分のものにするには何周もする必要があります。

『英語のハノン』も例外ではなく、後半になってくると、前半部分でやっていた「文の基本構造」や「疑問詞」など半分以上忘れています。

自分のものにするためには、短い期間で何回も同じ内容に出会うことですので、最低5周はしましょう。

私もまだ1周終わったところなので、2周目に取り組み始めているところです!

成果はすぐに実感できない

『英語のハノン』はスピーキングスキルを伸ばすための教材です。

また、スピーキングは一朝一夕で伸びるものではなく、どうしても成長の実感を得ることが難しいです。

名前の由来となっているピアニスト用の「ハノン」も、ピアニストとして有名になってから初めて今ある自分は「ハノン」のおかげと気づきます。

ですので、「テストや受験で良い点を取る」「TOEICで良い点を取る、英検に合格する」などの目的に対しては少し遠回りになるかもしれません。

長期的に見れば英語力があがって点数は上がりますが、短期間で結果を得られる方法ではないということです。

まとめ

『英語のハノン』は文法を「単なる知識」から「使える知識」に変え、スピーキングに応用できることを目的とした教材です。

  • 文法をやり直したい
  • スピーキングを強化したい

という人に特におすすめです。

また、英検1級やTOEIC満点保持者などの英語上級者と言われる方にも有効な教材なので、気になる方はぜひ試してみてください。

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